処方する患者さんのイメージ
- 体力があり、皮下脂肪が多く太り気味の人の動悸・肩こり・のぼせ・むくみ
- 体力があり、皮下脂肪が多く太り気味の人の便秘
- 体力があり、皮下脂肪が多く太り気味の人の湿疹・皮膚炎、ふきでもの
- 体力があり、皮下脂肪が多く太り気味の人の減量の補助
脂肪で太り気味の人のための薬です。太っていることで起こる諸症状に使います。とても生薬の種類の多い処方です。汗をかかせる薬、炎症を抑える薬、下剤、血の巡りをよくするものから構成されています。
肥満症そのものにも適応のある処方です。臨床研究でもプラセボと比較でその効果が一応示されています(Asuka Yasueda et al: Immunol Endocr Metab Agents Med Chem. 2013 Aug; 13(3): 185–195. Efficacy of bofu-tsusho-san, an oriental herbal medicine, in obese Japanese women with impaired glucose tolerance.)。しかし、研究での対象はそこそこ重症の肥満症で、食事療法と運動療法もあわせて行われています。したがって普通の飲むだけでやせるという薬とは言えないでしょう。
動物実験では麻黄、荊芥、連翹、甘草が脂肪の燃焼を促進させるという報告もあります(Yoshida, et al: Int J Obes Relat Metab Disord. 1995 Oct;19(10):717-22., Mechanisms for the anti-obesity effects of bofu-tsusho-san in MSG-obese mice.)。
ツムラ・クラシエ・コタローの62番です。
入っている生薬とその狙い
防風(ぼうふう):汗をかかせて頭痛、めまい、関節痛を治す。
連翹(れんぎょう):上半身の炎症、熱を抑える。炎症のあるできものの排膿を促す。
荊芥(けいがい):できもの、じんましんの初期に用いる。頭痛・発熱を治す(発汗解表)。
黄芩(おうごん):胃腸・肝蔵・肺の炎症を治す。
山梔子(さんしし):胸のつかえる感じ、熱感を治す。上半身に滞った気を降ろして精神安定をはかる。眼や、皮膚の充血を治す。
甘草(かんぞう):疲れやすい・意欲がない・息切れ・冷えなどの症状を改善する。強い下剤の作用を和らげる。下剤による腹痛を和らげる。
桔梗(ききょう):排膿を促す。ものもらい、蓄膿症、肺膿瘍、その他化膿性疾患に用いる。
大黄(だいおう):大腸を潤し,腸の動きを活発にして便秘を治す。便がよく出るようにして胃腸の炎症を治める。便がよく出るようにして血の巡りをよくする。
芍薬(しゃくやく):血の巡りをよくする。
川芎(せんきゅう):血行を促進して、気を巡らせて頭痛を治す。
当帰(とうき):血を作り(漢方的な意味で:補血)血の巡りをよくする。腸管の血流が悪いことによる便秘を血を作り血流を改善して治す。
白朮(びゃくじゅつ):体表と腹部の余計な水分を取り除く。
薄荷(はっか):軽い発汗作用。皮膚の発疹で発疹を促進して病気の経過を早める。
石膏(せっこう):体にこもった熱を解熱する。皮膚の炎症を抑える、皮膚を潤して皮膚炎を治す。
麻黄(まおう):強い発汗作用。利尿と浮腫の改善。水のたまった関節痛の改善。
生姜(しょうきょう):体を温め発汗を促す。
滑石(かっせき):利尿し泌尿器系の炎症を抑える。
芒硝(ぼうしょう):発熱を伴う便秘を治す。皮膚炎の炎症を抑える。
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