漢方薬の説明に書いてある体力とはどういう意味?

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薬局で漢方薬買うときってありますよね。たとえば、葛根湯を買うときに、パッケージや説明書きに「体力中等度以上のものの次の諸症:感冒の初期・・・・」とか「比較的体力のあるもの・・・」とかと書いてあるの気がついていましたか?

書いてあることからして、体力がない人は使わないほうがいいはずなんですけど、漠然としていて基準がなんだかわかりません。基準はあるのでしょうか?

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体力を見極めるポイント

ずばり漢方的体力ありなし判断のポイントを表にします。

もう結論ですか!

結論は早いほうがいいのです。

体力なし(虚弱)体力あり(充実)
体つき華奢、やせすぎ、筋肉がない。筋肉質、がっちり
小さくて弱い大きく、うるさい、しっかりしている
寒がり、暑がり寒がり、冷え性暑がり
つかれやすい疲れ知らず。24時間戦えるイメージ。
胃腸の強さ弱い。食が細い。すぐ下痢になる。強い。食欲旺盛。快便~便秘
顔色悪い、白いつやつや、血色よい~赤ら顔

この表からイメージしてもらえば大丈夫です。たとえば体育会出身の体がっちり、もりもり食べて朝から夜まで元気に仕事やら飲みにやらジムやら活動している営業マンは体力充実ですね。食細くやせ細ってぷるぷるしながら歩いているおじいちゃんは虚弱です。

そして体力中等度とは「普通」と言うことです。どのくらい普通かというと、仕事や学校に行く常識的な活動度の日常生活を極端に疲れたりすることなく送れれば、普通の体力としてよいです。日常生活といっても、おじいちゃんが一日中盆栽眺めたり、うたた寝したりしてるのは普通の活動度とは言えないでしょう。

いくつかのポイントで、体力ありなしが食い違うことがあることもあるでしょうが、全体的な印象を大事にしましょう。日常生活送るよりエネルギーありそうなら体力あり、弱々しそうなら体力なしです。

結局アバウト。

それでいいの?

自分の感覚で判断しても大丈夫

そんなこと言っても、それで本当にいいの?人によって判断だいぶちがってくるんじゃないの?という人もいるかと思います。大丈夫です。みんなだいたい一致すると思います。

たぶん大丈夫。

私はもともと外科医なのですが、外科医の世界には、患者さんの「生きがいい」「生きが悪い」という言葉づかいがあります。そしてそれは、まんま見た目の判断です。「この人は生きがいいから手術しても大丈夫」などと使います。うっかり生きが悪い人に大きな手術すると術後の立ち上がりが悪くて大変なことになるので、結構大事な要素です。

その判断は1年目の研修医でも、ほぼベテランと一致します。おおざっぱな「生きがいい、悪い」はとくに見極めに修行いらないです笑。周りの人をみて元気そうだ、悪そうだっていうのは、もともと人に備わった感覚なのかもしれませんね。

5段階は難しく考えない。ふつう、ある、なしが大事

市販薬の説明書きではだいたい「体力充実」、「比較的体力がある」、「体力中等度」、「やや虚弱」、「虚弱」のような感じで5段階になっていることが多いです。しかし厳密なものではありません。体力があるのか、ないのかさえ間違えなければ、大きな問題は起きないです。体力中等度を基準にしてだいたいのところで振り分けて漢方薬を使ってみればいいと思います。

5段階はともかく、普通か体力ありかなしかは区別しましょう。

はい。

はい。

急病と慢性疾患での体力の判断について

単なる風邪などの急病では病気になる前の元の体力で判断しましょう。だらだら具合の悪い状態が長くつづいて来たときは、その時の体力で判断です。もとは体力がある人でも病気が長く続いて、やせ衰えたりして体質が変わってきたときは体力がないと判断しましょう。

体力ありなしを間違えるとどうなる?

漢方の基本は冷え性なら温める薬、暑がりなら冷やす薬というように体質にあわせて処方します。なので同じ病気に対する処方でも、体力の有無に合わない薬を使うと却って調子がわるくなることがあります。

また漢方では体力のある人には強い薬を、体力のない人には主に体力を補うような穏やかな薬を使うことが多いです。したがって体力がない人が体力のある人用の薬を使うときは副作用が出やすいです。

説明書きに「体力充実」「比較的体力がある」と書いてある漢方薬を使うときは慎重に。

「体力充実」「比較的体力がある」は強めの薬のサインなんですね。

その通りです。

やや込み入った話を。

ここからはマニアック。

マニアックパートほんとに要るんですか?

虚証と実証

実は「体力のありなし」という表現は漢方理論からするとちょっと不正確なんです。わかりやすくするために「体力」という言葉を使っていますが、本来、漢方では体力のありなしを分けているのではなくて、虚証と実証という言葉を使って「病気の状態」を分けています。

急病では虚証とは「体の状態が悪くて病気に十分対抗出来ていない状態」のことで、症状は穏やかだけど長引くとされています。実証は「病気が強く、かつ体の抵抗力もあるので、病気と体が激しく闘っている状態」のことです。これをわかりやすく体力がない、あると言っているんですね。

そして慢性病の時は意味合いが急性とちょっと違っています。虚証は、「各々の臓器の機能が衰えている、血や水が不足していること」をいい、実証は「各々の臓器の機能が亢進している」ことをいいます。

ややこしいですね。

それをうまいことさばくのが医者の役目ですよね?

はい。頑張ってもらいましょう。

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