肥満にはこれ。といわれている漢方薬2つ

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防巳黄耆湯と防風通聖散、コッコアポ®とナイシトール®

肥満症の漢方薬といえば防巳黄耆湯と防風通聖散が有名です。きちんと肥満症で使うことに認可もあります。どちらも市販薬で購入できます。そのままの名前で売られていることもありますし、全く別の名前で売られているものもあります。

実はオレンジのコッコアポ®L錠は防巳黄耆湯ですし、ナイシトール®のシリーズと赤のコッコアポ®EX錠は防風通聖散です。コッコアポシリーズは3種類もあって全部ちがう漢方薬です。ややこしいので注意が必要です。

名前からは想像できませんね。

ややこしいですし、注意しましょう。

むくみを改善する防已黄耆湯

防巳黄耆湯。もともとこの漢方薬はむくみをとる薬です。むくんで痛む関節に使ったりします。いつの間にか肥満症のほうが強調されていますが、基本は体の余計な水分を尿として出す薬です。

水を体の外に出す薬です。

生薬の内容を詳しくをみると、利尿薬と胃腸を元気にするものが3つずつ入っています。直接の脂肪燃焼効果がある生薬はありません。効果があるのは元気がなくて弱々しくて、運動もほとんどしない、むくんだ人ということにります。イメージとしては、高齢者や病気でぶよぶよむくんだ感じです。皮下脂肪や内臓脂肪でパツンパツンではありません。

むくんで調子の悪い人用なのですね。

クラシエのコッコアポ®L錠は防巳黄耆湯です。解説サイトを見てみますと、脂肪燃焼のメカニズムとも結びつけていますが、胃腸が元気になるから代謝がふえるとか、元気になって運動量がふえるから、とありました。まあ、そうかもしれませんがちょっとこじつけが強いような気がします笑。

ということで、この薬は余計な水分を体から出すことで体重を減らすということなので、本来的な体脂肪を減らすという意味でのダイエット効果が望めるかというと微妙な感じがします。

あ、水を出して減量だと、ボクシングの計量前ような感じ?

そんな極端ではないですが、あたり。

水を飲めばもとに戻りますね。

本命は防風通聖散。が、しかし。

どうどうと肥満症治療で認可をもっている2つめの漢方薬、防風通聖散。こちらは使われている生薬多いです。なんと18種類。大まかに分けると汗をかかせる薬、炎症を抑える薬、下剤、血の巡りをよくするものから構成されています。

本来の効能としては、体力があり、皮下脂肪が多く太り気味の人の動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘・湿疹・皮膚炎、ふきでもの、となっています。使われている生薬からは納得できる感じですね。下剤でもあるのでそれで体重減る効果もありそうです。では脂肪を減らす効果はどうでしょうか?

防風通聖散の強みは、肥満に効くかどうかの研究がなされていて、一定の条件のもと効果があることが体重減少や内臓脂肪の減少効果が示されていることです*1*2。また脂肪燃焼のメカニズムも研究されていて、ある程度、どうして肥満に効くのか示されています*3。その比較でいいのかとか突っ込みどころはありますが笑

さっきより有望そう。

はい。でも、

難しいこと抜きにしますと、結論としては脂肪を減らす効果はたぶんあると思われます。しかし、研究で示されたことから言える大事なことがあります。研究の条件を見てみますと、

  • 研究はBMI30-40ぐらいの大変ふくよかな女性で、糖尿病または糖尿病なりかけの人で行われた。
  • 研究は全員、食事療法と運動療法した上で防風通聖散か偽薬を飲んで比べた。

となっています。これは重要です。つまり、研究からは男性とそんなに太ってない人には効果があるか厳密には言えない、というのと、内服だけでは効果があるかわからない、ダイエットの王道である食事療法と運動療法に重ねないとダメかもしれない。ということです。

魔法の薬ではなさそうです。

また、生薬に麻黄が入っていることから心臓の悪い人にはむきません。高齢者も注意が必要です。下剤である大黄と芒硝が入っているのでおなかの弱い人もむかないと思います。その点も注意が必要です。

食事療法と運動を組み合わせるのが大事

ということで若干残念な感じとなってしまいましたが、今調べられた範囲では防風通聖散は王道ダイエットの補助になら使えるとも言えるので、食事と運動を頑張れる人はその効果をよりよくするために使ってみるのはいかがでしょうか?

食事療法と運動なしで効果がある証拠はないです。

楽な道はやっぱりないのですね。

おまけ。ピンクのコッコアポ®G錠ってなに?

これは大柴胡湯です。がっちりした人で脇腹が張って苦しい、便秘がちな人のあれこれに使います。体内部にこもっている熱を冷まし炎症を取るために使う薬です。あれこれ、の具体的な症状としては耳鳴り、肩こり、高血圧、吐き気、嘔吐、不眠などです。

解説サイトのストレスからくる過食改善というのはわかるような気がしますが、脂肪燃焼ってのは微妙。大黄が入っているので便通はよくなります。

ところで、コッコアポG錠とクラシエ・コタローの医療用の大柴胡湯エキス、ツムラの一般用大柴胡湯の添付文書には肥満症の記載があるのですが、ツムラの大柴胡湯エキスには肥満症の記載がないんです。同じ構成の漢方薬でも記載がちがうんですね。不思議。そしてツムラの医療用には、他のはない食思不振に適応があります。

すみません。通りがかりのものですが、タイトル漢方薬3つにすればよかったのでは?

まあ、細かいことは気になさらずに。

もう一つおまけ。

防巳黄耆湯、防風通聖散、大柴胡湯、3つとも医療機関に受診して保険で処方することも可能です。日本で認可されていて、かつ保険で使える薬はとても少ないです。まあ、病院ではいわれたものをひょいひょい処方するようなことはしないでしょうから(すくなくとも僕はしません。あしからず笑)、そこら辺の病院ではなく肥満症を専門に扱っているような医療機関に行くことをお勧めします。

*1 Asuka Yasueda et al: Immunol Endocr Metab Agents Med Chem. 2013 Aug; 13(3): 185–195. Efficacy of bofu-tsusho-san, an oriental herbal medicine, in obese Japanese women with impaired glucose tolerance.

*2 Asuka Yasueda, Toshinori Ito, and Kazuhisa Maeda: Endocr Metab Agents Med Chem. 2013 Aug; 13(3): 185–195. Review: Evidence-based Clinical Research of Anti-obesity Supplements in Japan

*3 Yoshida, et al: Int J Obes Relat Metab Disord. 1995 Oct;19(10):717-22., Mechanisms for the anti-obesity effects of bofu-tsusho-san in MSG-obese mice.

 

 

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