ホタルの木
ワリンディ・プランテーションリゾートでのダイビングの旅で、もう一つ楽しみにしていたことがありました。ホタルの木の撮影です。ホタルが1本の木に集まり、一斉に光をともして、自然のイルミネーションを作っているのです。ダイビング雑誌や旅行会社のウェブページで紹介されているのを見て以来、チャンスがあったら是非自分の目で見てみたい、撮影してみたいと思っていました。
ホタルの木は、リゾートから車で5分ぐらいのところにあります。リゾートのゲートが面しているメインの道路を北に少し走らせ、山側にある椰子のプランテーションを少し入ったところにあります。周りはすべて椰子の木ですが、そのホタルの木はちがう木です。その木にホタルが集合します。
新月を1日過ぎたばかりで月明かりもなく、プランテーションの中はほぼ真っ暗。車のライトに照らされたところ以外はほとんど何も見えません。舗装されていない道を1,2分ガタゴト進むと突然車が止められます。運転手さんが道の脇を指さします。「そこだ。その木だ。」と。こんなに簡単に見られるのかと少し拍子抜けしてしまいました(笑)。しかし、ぱっと見どれがその木なのかわかりません。車を降り、ガイドさんが懐中電灯を持って足下を照らしてくれます。数歩歩いたところで車のライトと、懐中電灯が消されました。
クリックするとフルサイズになります。
するといきなり目の前にありました。1本だけホタルに選ばれた木。ホタルの光が点滅して木の形が逆シルエットのように浮かび上がります。ライトが消されると、点滅は誰かが指揮しているかのように、木全体で同じリズムを刻みます。まるで巨大なクリスマスツリーです。
あいにく雲の多い日でしたが、星も雲と、椰子の葉の切れ目に顔をのぞかせて、ホタルとの共演を果たしていました。
この日ホタルの木を見に行ったのは僕だけ。奇跡のような光景を心ゆくまで独り占めして
リゾートに戻ってきたのでした。
ホタルの木までの道
まずはワリンディ・プランテーションリゾートへ。ダイビングツアーをメインに扱っている旅行会社さんや、パプアニューギニアのツアーを取り扱っているPNGジャパンさんでツアーを頼むのが一番手っ取り早いです(笑)。昼間はダイビングで思いっきり海を楽しみましょう。
ホタルの木はリゾートでツアーをやってくれます。夕食の前ぐらいにレセプションに申し込むだけ。簡単です。参加費は1人だけの時は2000円ぐらい。2人以上だと1600円でした。出発はだいたい夜の8時半ぐらいです。実はそのあと滞在中に何回も行ったのですが、断られた日はなかったです。頼めば毎日やってくれるんじゃないかなと思います。強い雨が降っているときやその直後はホタルの出が悪いそうです。当日の天気を見て参加を申し込んで下さい。
虫除けスプレーはしていった方がいいです。写真は三脚を使って、スローシャッターでないと撮れません。コンパクトデジカメの自動モードでは全く撮れませんので、持って行く必要はないかと思います。ストロボを光らせても全く役に立ちません。鑑賞の邪魔になるだけなので、自動でストロボが光る設定のカメラは使わないようにしましょう。また、周りにスローシャッターで撮影している人がいる場合、ストロボが光ってしまうと、その撮影は台無しになります。優しくしてあげて下さい(笑)
ホタルの木撮影のコツ
時期、日程
適した時期:4月中旬から12月
適した日程:満月の5日後から新月の2日後まで。
ガイドさんによると、ホタルは1年中いるそうです。しかし一眼レフできっちり撮ろうとすると、まずは旅行のタイミングを考える必要があります。
まず晴れている必要があるので、乾期にあたる時期を狙ったほうがいいです。雲がなければ、星空とのコラボも撮影可能です。雨が多いとホタルの出も悪くなります。
ホタルの光に対して月の光は強すぎます。ツアーがある夜8時半から9時に月が出ていないことが大事です。直感的には新月の前後がいいように思えますが、新月を過ぎてしまうと日没後に月が残って西の空に光るようになります。下弦の月から新月になるまでの1週間が狙い目です。
撮影機材
最低限必要なもの
- 一眼レフ(ライブビュー撮影出来るものが望ましい。)
- 広角レンズ(好みにもよるが全体を狙うなら 20mmからフィッシュアイぐらいがよさそう)
- レリーズ
- 三脚
- 手元を照らすもの(スマホなどでも可能。ヘッドライトなら両手があいて便利)
あると便利な物
- フォーカスリングを固定するテープ
ホタルの木ツアー申込時に考えること
みんなで素晴らしい光景を一緒に味わうのは楽しいことなので、是非一度は一緒に旅している皆さんで見に行ってください。が、撮影はできれば1人の方が気兼ねなくできるかと思います。そもそも撮影には時間がかかりますし、星も出ておらず、暗すぎてどうにもこうにもピントが合わせられないときに、ガイドさんに木を照らしてもらうという裏技がつかえます。みんなとは別に1人で行く日程を設けることも考慮しましょう。
セッティング
三脚を立て、カメラをセットします。狙った構図になるように、ファインダーをのぞいて位置調整するのですが、暗すぎてファインダーをのぞいても、ほとんど何も見えない可能性が高いです。星空が見えていれば、椰子の葉のシルエットがかろうじて見えるかなと思います。ホタルの光も見えなくはないですが、かなり難しいかもしれません。作品の中で椰子の葉の位置も作品の印象を左右するので、確認出来るといいです。カメラの機種によってはライブビューモードのほうがファインダーをのぞくよりもいいと思います。
下の写真は少しずつアングルや、雲、月の条件が違う例です。
フィッシュアイ15mm、曇り、月の光がうっすら雲全体に広がった時の写真
最終手段としては、ガイドさんにホタルの木や周囲の椰子の葉をライトで照らしてもらうという手もあります。ライトを当てても、ホタルは全部消えたりしないです。点灯のリズムが狂うときもありますが、再度ライトを消せば1,2分で元通りになります。
撮影条件の設定
これは、撮りたい絵で多少変わってくるかなと思います。今回17mm、180秒、F4.0、ISO400でやってみました。ホタルの光の数と強さをなるべく増やしたいのと、星の軌跡が狙えればいいなという設定です。残念ながらこのときは雲が多くて星は中途半端な感じになってしまいました。
フォーカスをあわせる
これが一番のキモだと思います。とても暗かったのでかなり難しかったです。まず暗いままではオートフォーカスは全く役に立ちません。マニュアルフォーカスもファインダーではフォーカスがわかるほどに見える物は何もないので厳しかったです。頼みのライブビューもホタルの光は捕らえられず。結局ガイドさんにホタルの木を照らしてもらい、明るくなったところでオートフォーカスとしました。これで何枚かに1枚はフォーカスがきっちりあうものが出てきました。1人で来たときにしかつかえない最終手段です。
その時は思いつかなかったのですが、ライトを当ててもらって、ライブビューで最大倍率にして確認して、そこにマニュアルフォーカスをあわせるのが、一番確実でよかったかもしれません。また、雲が少なくて星が明るければ、ライブビューで星をみてフォーカスをあわせられるかもしれません。
暗いところでのフォーカスあわせは星空撮影のやり方が参考になると思います。星空撮影のフォーカスあわせは、このブログが詳しいです。僕も撮影前に調べておけばよかったです。丸腰で挑みすぎました(笑)
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