滋陰至宝湯(じいんしほうとう)

エキス剤
スポンサーリンク
スポンサーリンク

処方する患者さんのイメージ

  1. 弱々しい人で食欲不振、倦怠感、微熱、ほてり、口渇、イライラを伴うような咳や痰

滋陰とは足りない陰を補うという意味で、陰とは体の潤い、水分と考えればいいと思います。つまり、体や臓器の潤いが足りないことによる症状を治すための処方です。弱々しい人の咳や痰のための処方ですが、さらに絞り込むと水分が足りないというイメージの人に使います。また、精神・気持ちの落ち着かない症状の気逆に使う基本処方、四逆散の柴胡、芍薬、枳実、甘草のうち枳実をのぞく3つが入っています。加味逍遥散ともかぶる生薬がおおく、そのような意味でも精神症状に使える性質がうかがえます。

ツムラ・クラシエ・コタローの92番です。

入っている生薬とその狙い

柴胡(さいこ):肝(現代の肝蔵より広い機能をもつ漢方的な意味で。)の働きを調え神経緊張を和らげるなど神経症状の改善。

芍薬(しゃくやく):婦人科系の働きを調えて月経不順・帯下・月経痛を治す。筋肉痛・けいれん・腹痛を治す。

当帰(とうき):血を作り(漢方的な意味で:補血)、気を巡らせて月経不順、月経痛、腹痛、冷え性、腹痛などを治す。体を温めて、婦人科系の働きを活性化させる。

白朮(びゃくじゅつ):胃腸の働きを改善して食欲不振、腹部膨満、下痢を治す。体表と腹部の余計な水分を取り除く。

茯苓(ぶくりょう):胃腸の機能を高めて、胃にたまった水を取り除く。むくみを治す。水が滞ることによる精神不安を治す。

麦門冬(ばくもんどう):肺を潤して、乾いた咳を止める。

貝母(ばいも):鎮咳・去痰 熱性の咳嗽に使う。 化膿性のできものでまだ排膿していないものや、解消していないものに用いる。

知母(ちも):胸部、腹部の炎症を抑えて解熱する。体の水分を補い寝汗や口渇を治す。

薄荷(はっか):熱を下げ、痛みをとめて、のぼせによる頭痛や咽頭痛を治す。

香附子(こうぶし):気の滞りを治し、胃腸機能を高める、頭痛を治す、胸のつかえを治す。耳閉感を治す。

陳皮(ちんぴ):肺の湿りをとり、咳を治す。痰を除く。

地骨皮(じこっぴ):炎症を抑える。清熱する。地骨皮+知母で微熱、咳嗽、寝汗を治す効果

甘草(かんぞう):気を降ろす作用。筋肉・関節・腹部の緊張を解き、鎮痛する。芍薬とあわせると作用が増強する。疲れやすい・意欲がない・息切れ・冷えなどの症状を改善する。胃腸を整える。

コメント