九味檳榔湯(くみびんろうとう)

エキス剤
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処方する患者さんのイメージ

  1. むくみ、息切れ、動悸、倦怠感のある人
  2. 心悸亢進、肩こり、けん怠感があって、便秘の傾向があるもの。 高血圧、動脈硬化、及びこれらに伴う頭痛

原典では脚気の予防、治療に使っていたようし、コタローの添付文書の効能効果に脚気は書かれていますが、現在では脚気はビタミンB1欠乏が原因とわかっているので、その治療のメインに使うことはないでしょう。ほとんどの生薬が消化管症状にかかわるものですが、上記の様な症状に使うようです。

ツムラ・クラシエ・コタローの311番。

入っている生薬とその狙い

檳榔子(びんろうじ):消化不全を治す。膨満感を治す。下痢を止める。

大黄(だいおう):大腸を潤し,腸の動きを活発にして便秘を治す。 便がよく出るようにして胃腸の炎症を治める。 便がよく出るようにして血の巡りをよくする。

厚朴(こうぼく):胃腸の機能を促進して腹部の張りと緊張感をとる。腹にたまるガスを取り除く。

桂皮(けいひ):精神不安・不眠・めまいを和らげる。 血の巡り(漢方的な意味で)が悪くて起こる諸症状の緩和。

甘草(かんぞう):痰をきる・のどの痛みをとる。桔梗を合わせると作用が増強する。消化管の調子を整える。潰瘍を治す。 人参・大棗・生姜・白朮・茯苓とあわせて効果を狙う。

木香(もっこう):胃腸を温める。食欲を増進する。腹部膨満を治す。 おなかが冷えることによる下痢を治す。木香+人参でも胃の動きをよくし機能をよくするなどの働き。木香+檳榔子も胃腸の働きをよくする組み合わせ。

橘皮(きっぴ):現代においては、陳皮と実質同等。胃腸を調える。腹部の張りと膨満感を直す。食欲増進。

蘇葉(そよう)神経性の咳、胸の煩わしさ、喉の違和感を治す。 胃の機能を調えて吐き気を止める。

生姜(しょうきょう):吐き気止め。半夏とあわせるとさらに効果増強。 魚介類の中毒の予防、解毒。 大棗+生姜+甘草のトリオで胃腸系を整える役割

呉茱萸(ごしゅゆ):胃腸を温めて冷えによる吐き気や胸焼けを治す。 冷えによる腹痛、腰痛、関節痛を止める。 胃を温め利水することにより頭痛を治す。

茯苓(ぶくりょう):利水。胃腸の機能を高めて水腫や浮腫を治す。 胃にぽちゃぽちゃ水がたまる状態(胃内停水)を治して胃腸機能を調える。 水が滞ったり、血の巡りが悪いことによって気が上にたまる精神不安に使う。

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