シミラン諸島クルーズ日記2019: 2日目 シミラン諸島

タイ
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シミラン諸島

 6時半起床。すでに外は明るくなっている。いい天気だ。寝ている間にシミラン諸島に到着していた。

 シミラン諸島は、マレー半島の西側、アンダマン海に浮かぶ小島の連なりだ。昨夜出航したタプラム港からは、北西に80キロ弱のところにある。スミラン、またはシミランはマレー語で数字の9の意味。その名の通り南北に9つの島が連なっている。南から北に1から9の番号が振られている。
シミラン諸島は、美しい珊瑚礁、カラフルなソフトコーラル、癒やされる真っ白なビーチと砂地、ダイナミックな岩の地形、そして多種多様な水中生物と、ダイビングの魅力で大事な要素がすべて備わっている。そのため、タイはおろか世界でも有数のダイビングスポットであり、毎年シーズンになると世界中からその美しさに魅せられたダイバー達が集まってくるのだ。

 シミラン諸島は、その北にあるボン島、タチャイ島を含めてシミラン諸島国立公園として指定され、保護下におかれている。環境保護のため11月5日から5月15日までの期間中のみオープンし、その他の期間、観光客は国立公園内に入れない。No.1からNo.3の島は通年、観光客には開放されていない島々だ。また、残念ながら、ダイバーが多すぎたり、サンゴの白化現象がおきたりして、傷みすぎてしまったところは部分的にクローズされている。そうやって観光と自然保護の折り合いをつけ、豊かで美しい海を維持しているのだ。

1日の基本スケジュール

 このダイビングクルーズ船の1日のルーチンを簡単に言うと、「食う寝る潜る」、の繰り返し。ただし、朝一番のスタートは「潜る」だ。起床して朝食前に1本潜る。もちろん寝起きでなにか口にしたい人のために、パンやコーヒーなどのちょっとしたものは用意されている。1本目の後が朝食、2本目の後が昼食、3本目の後はおやつ、4本目の後が夕食と、潜った後には必ず食事の時間となる。食事をしたあとは次のダイビングまでは休憩。サンデッキでうとうとしたり、本を読んだりするのだ。僕は涼しい船内で写真編集するか、うとうと、ごろごろするのが好きだ。

ダイビング初日:シミラン諸島

本日のスケジュールはこちら。

  • 6:30 起床
  • 7:00 1本目ダイビングブリーフィング
  • 9:00 朝食
  • 10:30 2本目ダイビングブリーフィング
  • 12:30 昼食
  • 14:30 3本目ダイビングブリーフィング
  • 15:30 おやつ
  • 16:00 ドナルドダックベイ上陸
  • 17:45 4本目ダイビングブリーフィング
  • 20:00 夕食

 今日はすべてシミラン諸島で潜る。3本目の後で、シミラン諸島で一番美しいNo.8の島のビーチに上陸する。以前のスケジュールでは、クルーズ中にNo.4のビーチとNo8のビーチ、2回の上陸の機会があったのだが、今シーズンからか若干の変更でシミラン諸島でのダイビングが減ったため、上陸はNo.8のみになったようだ。

1本目:ウエストオブエデン

 さていよいよ、今回の初ダイビング。ポイント名はウエストオブエデン。No.7の島の西側にある、岩がごろごろしたポイントだ。大きな岩のダイナミックな地形が楽しめる。一般的にシミラン諸島の島の西側は、インド洋から来る波に海岸が洗われて岩がごろごろした地形になる。東側は砂地が広がっている。生物としては、ひれを広げると美しいベラの一種マッコスカーズフラッシャーラスや、面白い顔をした小さなギンポ、シシマイギンポなどを観察することもできる。今回は生物狙いで、マクロレンズを選択して潜った。

 潜って最初に、やや深いところにいるマッコスカーズフラッシャーラスを探しに行く。たくさんいる。が、ほとんどひれを開くものがいない。しばし観察したが、ホンソメワケベラにクリーニングをしてもらっているのを見つけたときぐらいしかなかった。見つけたときにはクリーニングがほぼ終了仕掛けていたので証拠写真程度にしか撮れなかった。

 その後も撮影としては残念ながら低調。なぜなら、景観が素晴らしく、小さな被写体に集中できなかったからだ(笑)。潮がよかったのか、周りにどんどんタカサゴ類の群れがよってくる。1m越えのロウニンアジまで複数あらわれ、キンギョハナダイ、岩の景観とのコラボ。ダイナミックな光景に心奪われた。ワイドレンズではないので、その撮影はできない。撮影は潔くあきらめて、その景色に混じって水中を散歩する感覚を十分に堪能した。最後は岩のトップにかじりついてギンポ類の撮影をしてエキジット。

 余談だが、ウエストオブエデンという名から想像に難くないように、かつてNo.7の東側には、イーストオブエデンという、シミランで一番珊瑚の美しいポイントがあった。珊瑚の白化現象などの影響でダメになってしまい、10年近く前に閉鎖されてしまった。しかし、最近の調査ダイブの結果、復活しているとの噂を聞いた。また、開放され、あの奇跡のような光景を見てみたい。

2本目:エレファントヘッドロック

 エレファントヘッドロックは、No.7とNo.8の間にある、3つの岩が海面から突き出た岩礁だ。名前の由来は、以前聞いたものは、横から見た3つの岩が、海面から顔を出した象の頭と鼻に見えるというものだったが、今回聞いた説は、一番大きい岩を真上から見ると象の頭に見えるというものだった。ここもダイナミックな地形でワイドレンズも面白いのだが、アケボノハゼ親戚と、先ほど取り損ねたフラッシャーラスに再チャレンジするべく、またマクロレンズを選択。今回のクルーズは翌日以降のポイントの調子がよいと聞いていて、ほぼワイドレンズになる可能性があったのでシミラン諸島で小さな生物の撮影をまとめて撮っておきたかったのもあった。

 結果は。。。アケボノハゼ親戚は見つからず、フラッシャーラス全く開かず(笑)。シシマイ浅場の岩の上でシシマイギンポを撮影して終了。

3本目:スリーツリーズ

スリーツリーズは一番北の島No.9の島の東寄りのポイント。砂地と、ところどころに鎮座するソフトコーラルの美しい珊瑚の根が特徴の癒やしのポイントだ。上を見れば浅いところをバラクーダの群れが抜けて行くこともある。懲りずにマクロレンズ。トウモンウミコチョウのスヌート撮影してみた。ガイドのツヨキさんがヒレナガネジリンボウを見つけてくれたので、嬉々としてカメラを構えて、にじり寄ろうしたとたんに、冷たい濁った水が海底を這うようにおそってきた。辺りがもやもやして、オートフォーカスも合わなくなったので強制終了。今日はなんだかついていない。それでも癒やしの景色には十分癒やされてダイビングを終了した。

ドナルドダックベイ上陸

 4本目はサンセットからナイトダイビングの時間に潜るのでかなり時間があく。この間を利用してNo.8のビーチに上陸する。湾の名前の由来は湾の入り口にある目立つ大きな岩が、ドナルドダックの頭の形に似ているから。このビーチは、シミラン諸島一美しいビーチだと思う。上陸は午後4時頃。デイトリップで訪れる人々はすでにビーチを後にして喧噪はなく、静かでとてもよかった。近くに大型のクルーズ船がいて、その乗客の人がエクスカーションに来ていたので、全く貸し切りというわけにはいかなかったが、僕が行った中では中では一番人が少なく広々としていて心地よかった。

 このビーチのの近くにはビーチを見下ろせる小高い岩山がある。その頂上に倒れそうな形でさらに岩が乗っており、バランシングロックと呼ばれている。久しぶりに登ってみる。以前来たときよりも道が整備されていて、上りと下りが別の道になっていた。年々混雑していたのでそれに対応したのだろう。10分もしないうちに頂上へ到着。クルーズでご一緒している人たちと記念撮影。そしてビーチを見下ろして堪能する。来年もここに来たい。

4本目:タートルロック

 タートルロックはドナルドダックベイ内のポイント。今回はツヨキさんの調査ダイブをかねてテグリ仲間の求愛、産卵を見に行くことになった。午後6時前の陽が落ちかけてきた頃にエントリー。

 面白そうなところをいくつか案内してもらい撮影したり観察したりして、求愛の時間になるのを待つ。6時20分頃テグリがいそうなところに移動。ちょっとしたステージのようなところで2匹を見つけた。自信はないがミヤケテグリかな? 強い光を当ててしまうと、求愛行動しなくなってしまう。赤いライトなら大丈夫なので赤いライトで観察。ステージをぐるぐる回るだけでなかなか接近しない。もしや赤い光だけど、強すぎるのかもと、ライトをすこし外して弱めた。すると徐々に接近し、いい感じに。やがて寄り添うように2匹が一緒に浮上。1mくらい浮上したところではじけるように2匹が分かれた。この瞬間が放精、産卵だ。行動パターンがよくわかっていなかったので撮、影は失敗。しかしあの浮上速度なら浮上してから落ち着いて狙えばよさそうだ。他のペアいないかなと、探そうとしたら、なんと先ほどのペアがまた求愛行動を開始した。もう一度見せてくれたので撮ることができた。

 夕食後、撮れた写真を確認する。観察していたときはよくわからなかったが、ひれがが開くのは求愛行動中で、ペアで浮上するときには閉じてしまうらしい。浮上する前はあまり光を当ててはいけないと思いあまり撮っていなかったので、ひれ全開の写真はピンぼけの1枚しか残っていなかった。今度撮るときはここも逃さないようにしたい。

おまけ:シミラン諸島トリビア

 普段、日本人のクルーズでは数字で呼んでいるのであまり耳にすることはないが、数字でない呼び名もある。フーヨン島(No.1 เกาะหูยง)、パヤン島(No.2 เกาะปายัง)、パヤン島(No.3 เกาะปาหยัน)、ミアン島(No.4 เกาะเมียง)、ハー島(No.5 เกาะห้า)、シミラン島(No.8 เกาะสิมิลัน)、バグー島(No.9 เกาะบางู)と名前が付いている。ただしNo.5の「ハー」はタイ語の5の意味なので、数字でない名前はない。No.2とNo.3はカタカナだと同じになってしまうが「ヤン」の部分がタイ語的にはイントネーションも語尾も違う、全く異なる音だ。

 と、ここまで書いて、No.6とNo.7を抜かしたのには訳がある。実は調べてみると、どの島をNo.6、No.7にするのか、ダイビングショップや、タイ観光庁の資料によって違っていて、混乱があるので言葉を濁したのだ(笑)。

 そもそも、どの島を9つに入れるかに揺れがあった。主なパターンは2つ。

(A) No.5は隣接した2つの島で、これをまとめてNo.5とし、ダイビングサイトのエレファントヘットロックとして知られる岩礁ヒンプサー(プサー岩という意味)を島として数えるやり方。この場合は、パユー島(No.6 เกาะบายู)、ヒンプサー島(No.7 เกาะหินปูซาร์)となる。このときはパユー島の別名がホック島(No.6 เกาะหก)だ。ホックはタイ語で6の意味。

(B) もう一つはNo.5と隣接した島をまとめず、No.5、No.6と呼び、ヒンプサーを岩礁とみなして島として数えないやり方。この場合はNo.5は1つの島で、隣接した島がホック島(No.6 เกาะหก)になる。パユー島がNo.7になり(No.7 เกาะบายู)、あぶれたヒンプサーはNo.7とNo.8の間にある岩、ということになる。

下記はウエブ上で様々なダイビングショップが掲載していた地図の引用だ。

 僕のお世話になっているダイビングショップでは(B)の方式をとっていて、そのほかのダイビングショップも(B)方式が主流派なのでその呼び方にした。観光庁は(A)方式を使っている。どうもこの混乱はNo.5の島と、隣接した島には固有名詞がなく数字だけの呼び名で、単なる岩礁のヒンプサーに固有名詞があるからではないかと思う。いずれにしても数字でない呼び名が示している島は変わらない。誤解がないようにするなら、ウエストオブエデンはパユー島の西のポイントで、エレファントヘッドロックはヒンプサーそのもので、パユー島とシミラン島の間にある、というのが正確かもしれない。

3日目へ続く

お世話になったダイビングサービス:ビッグブルーダイビング

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