ジャイアントマンタに会える島:タイ、コボン

タイ
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コボンはどこにある?

コボンはタイのアンダマン海にあります。「コ」はタイ語で島。なのでボン島ともいいます。カオラックの沖、ダイビングで人気のスミラン諸島の北に23kmほど行ったところです。アクセスはプーケットやカオラックからのダイビングクルーズ船に乗るか、カオラックからのダイビングデイトリップとなります。

デイトリップではカオラックを朝出て、車で30分ほど北上し、スピードボートに乗り換えで1時間程度で到着出来ます。ダイビングを2本して、午後3時から4時にはホテルに帰ってくるといった行程です。

スミラン諸島、コボンを含む海域は11月から4月のみオープンしています。潜れる期間が限定されています。

マンタは2種類

ダイバーやシュノーケラーに大人気の世界最大のエイの仲間であるマンタ。実は2種類いるのをご存じでしょうか?オニイトマキエイ(ジャイアントマンタ)とナンヨウマンタです。2種の一番のちがいはその大きさです。オニイトマキエイは横幅が6m以上になりますがナンヨウマンタは5m止まりといわれています。

ナンヨウマンタは珊瑚礁の近くで群れていることが多く、石垣島、西表島、ハワイ島、パラオ、モルディブなど世界各地のマンタスポットで見られるマンタはほとんどがナンヨウマンタです。オニイトマキエイは外洋性のマンタなので見られるポイントは限られています。小笠原諸島やメキシコのソコロ。いずれも船で24時間以上かかる離れ小島です。

ところがタイのコボンはタイ本土からスピードボートで1時間の距離にもかかわらず、現れるマンタはなぜか、ほぼ100%オニイトマキエイ。しかもシーズンとなれば、かなりの高確率で出会うことができる、とても貴重な島なのです。

マンタポイント

オニイトマキエイを狙って潜る、メインのポイントは、ボン島の西のへり、ウエストリッジというポイントです。また、ウエストリッジの北側、やや離れたところにあるコボンピナクルでもマンタのチャンスがあります。

ボン島は西に向かって細く突き出ているところがあり、それが海中にまで伸びています。潮の流れによってその突き出た峰の北側か南側から潜ります。流れに沿って海中に伸びた峰の先のやや深いところを目指し、そこでマンタを待ちます。ある程度待って現れなければ、岸に近いやや浅いところに戻りまた待ちます。実際のところ、ウエストリッジのどこでも出会える可能性があるので最初から最後まで気を抜けません。

待っていると音もなく登場するマンタ。その迫力に圧倒されます。石垣島やパラオでマンタを見たことある方は、その大きさのちがいに気がつくでしょう。時にはウエストリッジの華やかなソフトコーラルとのコラボも見せてくれます。是非コボンへ、オニイトマキエイに会いに行きましょう。

マンタだけではないコボンの海

残念ながら、マンタには毎回会えるわけではありません。マンタに会えなかったらはずれ?そんなことはありません。マンタが出なくてもウエストリッジにはみどころがたくさんあります。マンタを探す間も素敵な景観を楽しみましょう。

ソフトコーラルの絨毯

タイのアンダマン海一般にも言えることですが、至る所に美しいソフトコーラルが群生しています。コボンのソフトコーラルの特徴は丈が低く岩一面に群生していることです。黄色、ピンクと淡いパステルカラーの絨毯が敷きつめられているようで非常に美しいです。そこを大きなハタやナポレオンが通っていきます。チョウチョウウオやススメダイなども舞っています。ソフトコーラル1つ1つに注目すれば、小さなかわいいハゼなどがちょろちょろ動き回っているのにも気がつくでしょう。

スカシテンジクダイの雲海

タイミングが合えば、スカシテンジクダイが大繁殖してリッジを覆っている光景を見ることができます。もともとのソフトコーラルに光を当てるとキラキラ光るスカシテンジクダイ。大変美しいです。是非ライトを持って行きましょう。撮影をされる方はストロボを。キラキラ光る素敵な作品が撮れますよ。

捕食者の群れ

ウエストリッジにはカスミアジ、アミメフエダイ、キツネフエフキなどの大きめの魚も回遊しています。特にスカシテンジクダイの多い時期は頻繁にリーフに一団となって突進して捕食している姿が見られます。ものすごい勢いであたりを蹴散らすかのように捕食するんです。なかなか豪快な光景だと思います。

大きなハマサンゴ

ウエストリッジの北側に岩のような大きなハマサンゴがあります。サンゴの岩の隙間にカラフルなソフトコーラルがぎっしり生えています。スカシテンジクダイやキンメモドキがぎっしりとサンゴをすみかにしています。ユカタハタやミノカサゴなどもよってきて賑やかな光景です。

秘密の離れ根、コボンピナクル

ややトップが深いため、毎回潜りに行くところではありませんが、北側少し離れたところに隠れ根があります。岩はやはり美しいソフトコーラルで覆われていて、そこをカスミアジなどの群れが縦横無尽に泳ぎ回ります。ここに行ってしまうとメインのポイントでのマンタ待ちは難しいですが、こちらでもマンタのチャンスがあります。

小さな魚たち

マンタばかりではなく、小さな魚も面白いです。ダイバーに人気のアケボノハゼのインド洋バージョンにも手軽な深さで出会うことができるときもあります。またガレ場ではアンダマン海やインド洋の固有種なども観察することができます。

オニイトマキエイとナンヨウマンタの見分け方

大きさ以外はかなり似ている2つのマンタ。せっかく貴重なオニイトマキエイの見られる海に行くのであれば、オニイトマキエイとナンヨウマンタ見分けられるようにしておきましょう。

おなかから

ダイビングをしているときに一番見分けやすいのはおなかの模様だと思います。えらの切れ目を頭から数えてみて下さい。5つあると思います。その5番目のえらの切れ目に沿って黒い斑がしっかりあるのがオニイトマキエイです。ナンヨウマンタはその部分の斑はないか少しあるだけです。

また口の周りが黒い部分があるのがオニイトマキエイ、真っ白がナンヨウマンタです。

背中から

背中の白い帯模様を見ましょう。帯模様の頭側が口と平行なのがオニイトマキエイ、角度があってハの字になっているのがナンヨウマンタです。

全身が黒いブラックマンタだとどうしようもないですが、これで見分けられると思います。是非、コボンにいって確認してみて下さいね!

おまけ

おまけの豆知識。2017年にナンヨウマンタの学名が変わりました。 Manta alfredi からMobula alfrediに変更されました。ちょっとややこしいのですが、オニイトマキエイ(Manta birostris)の近縁種にイトマキエイ(Mobula mobular)というのがいます。イトマキエイは2種のマンタより小型で灰色でスリムな体をしています。遺伝子の解析で、ナンヨウマンタはイトマキエイ類の系統に完全に含まれることがわかったそうです。和名のナンヨウマンタは、そのままです。そしてダイバー的にもナンヨウマンタはイトマキエイではなく、いつまでもマンタですけどね。

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