セノーテとはメキシコのユカタン半島にある、地下水のたまった天然の泉、井戸のこと。その泉は水没した洞窟につながっている。石灰岩の大地で濾過された地下水は透明度100mと言われるほど透明だ。冒険心をくすぐる水没した鍾乳洞、天井の穴から降り注ぐ光のカーテンなど、美しいみどころが満載のダイバーあこがれのダイビングポイント。今回はダイビングに4日間を使って8つのセノーテを潜る計画だ。
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朝
セノーテダイビング2日目の朝。6時に起きて、カメラセットに昨日の撮影には持って行かなかったストロボをセットする。前日の到着が遅く、ちょっと疲れていたのと、光系のセノーテで必要ないかなと思い、セッティングを省略していた。しかし、昨日潜った印象だと、光系のセノーテでもストロボがあった方がいいかもしれないという場面があった。本日はぬかりなくセットする。セットを終えて身支度。朝食は1日目と同じホテルのレストランで。
8時にダイビングショップ集合。集合と言っても、本日はファンダイバーは僕1人のみ。ガイドさん2人の贅沢なダイビングになった。ピックアップトラックに荷物を積み込む。ほどなく出発。
ドスオホス村
出発して40分ほどで入場ゲートへ到着。
道中、今日のポイントの説明を受けていた。今日潜るのは「ピット」と「ドスオホス」だ。セノーテはたいていが私有地で,オーナーがめいめい管理して入場料などをとっているそうだが、中には村で所有して管理しているところもある。今日のポイントがそうで、その村の管理するドスオホス公園の中にある。むしろ、公園が村そのものということらしい。そしてピット、ドスオホス以外にもいくつもセノーテがあるとのことだ。
ここからさらに車を走らせる。舗装されていない道をガタゴト進む。途中、ガイドさんが案内してくれる。ここも今日は潜らないけどセノーテですよ、ここは学校、ここはいま売りに出ている土地ですよ、などなど。村の機能もこの公園内にあるのが実感できる。
ピット( El Pit)
目的地に到着。まずはカメラ持ち込み料を払い、エントリー口を見てからブリーフィング。エントリー口は岩の壁に囲まれてぽっかり空いた穴だ。上からのぞき込むと6,7mぐらい下に深い藍色の水面が見える。濃い青色は高い透明度のサイン。壁の一部に急な階段が設置されていて、ここを降りるとエントリーとエキジット用の小さなプラットホームがある。
階段を降りる前にフィン以外のセッティングをすませ、タンクを背負って階段を降りる。木製の急な階段。滑りやすいので注意が必要だ。降りたら、セッティングの仕上げをしてエントリー。
水面で岩の壁を見上げる。岩の割れ目から朝日が光線となって水面に差し込んでいる。
そして潜行。まずはボトムまで一気に潜行する。このセノーテは単純にいうとでっかい縦穴だ。水面は直径10mぐらいの穴だが、中はもっと広い。ボトムは30mぐらい。ビル10階建てがすっぽり入る。
ボトムは硫化水素でできた白い霧が覆っている。そこに水面から落ちた木々の枝が突き出ていて気味が悪くも幻想的な景色。
角度を選べば硫化水素の霧から水面まで、すべてを視界に入れることができる。透明度が高いからこそなせる技だ。あんまり透明度が高いので、水面が30mも上にあるように写らない。霧と光線がなければそこに水があるとは思えない光景。
底を2周ほどしたらセノーテの壁を伝ってぐるぐる回って隅々を見ながら少しずつ深度を上げる。ちょうど螺旋を描きながら上昇していくイメージ。光のあまり届かないところも、ガイドさんについてまわっていく。途中で動物の骨なども案内されるが、どうしても、どこから撮ったら一番きれいだろうかと、水面から入る光線に気を取られてしまう(笑)。
それにしても印象的な光のセノーテだ。螺旋を進む間に刻々と変わる光の姿を楽しんでエキジット。
実はこのセノーテがその真価を発揮するのは真夏だそうだ。真夏には真上から光の束が一気にボトムまで流れ込む。次回はその姿を撮ってみたい。
潜水時間39分。最大水深30.2m。水温25.6度
ドスオホス(Dos Ojos)
ピットをエキジットして駐車場でホットティーをいただく。荷物を荷台にあげ、自らも荷台に乗ってピットからドスオホスまで公園内を移動した。
ドスオホスはこの公園内のメインのセノーテ。広場もエントリー口に続く階段もよく整備されている。ドスオホスとはスペイン語で2つの目という意味で、その名の通り、2つのセノーテが並んで口を開けていて、それが洞窟でつながっている。
ダイビングのする場合は「1つめの目(東の目)」から入る。この洞窟は普通のファンダイバーがいける範囲では水深はそれほどないが、広く横に広がっている。コースはバービーラインと、バットケーブラインの2つがあり、ダイバーはここで2本ダイビングをするのが一般的だ。どちらも1周するのに4,50分かかる。
バービーライン
1本目はバービーラインだ。
エントリー。ここも透明度が高い。エントリー口から斜めの光が差し込んできて非常に美しい。ピットとはちがって、こちらは秋のこの時期の光がベスト。夏は日差しの角度が急すぎて入ってこないのだそうだ。
入り口の広い開口部を過ぎるとすぐに洞窟だ。
途中2つめの目を横目に見ながら奥へ進む。
洞窟は鍾乳石と岩でできている。コース全体にラインが引かれており、それにしたがって進む。洞窟は暗く冒険しているようでなかなか面白い。ただ洞窟内の撮影は、洞窟が暗いのと、基本ガイドさんの真後ろをしっかりついていかないといけないので、かなり難しい。有名な写真家さんが撮った作品も見てみたが、明るいライトを持ち込んで様々なところにセッティングして撮影しているようだった。カメラのストロボだけでは、印象的な作品にするのは難しいようだ。
バービーとワニのマーク笑
ガイドさんの後ろについて静かに洞窟を進んで行く。やがて進行方向が明るくなって、入り口の青い光が目にはいり、1本目終了。
潜水時間49分。最大水深7.8m。水温25.2度
バットケーブ
今日はファンダイバーが僕1人だったため、準備撤収に時間がかからず、スケジュールよりもかなり前倒しで進んでいた。昼食の時間はいつでも好みで決めていいとのことだったので3本終わってから食べることにした。本日3本目、ドスオホスの2本目は、バットケーブライン。
エントリー口は同じ。洞窟を進んで行くと、途中で大きなエアドームに突き当たる。ここで一度水面へ。天井は一面にシャンデリアのような鍾乳石が垂れ下がっていてとても印象的。このエアドームの天井に小さな穴が開いていてそこから光が差し込んでくる。エアドームの天井はコウモリの巣になっていて、それが名前の由来。時折天井をコウモリがパタパタ飛び交うのが見えた。このエリアはシュノーケラーも遊泳できるようで天井の穴の下には数人が楽しそうに遊んでいた。
再び洞窟内を進む。複雑に入り組んだ道。暗闇の中からダイバーのライトに照らされた鍾乳石が様々な姿を見せる。水は限りなく透き通っていて、そこに水がないかの様な感覚におちいる。タンクをサイドマウントしたガイドさんの姿はまるで無重力の星を探索しているかのようだ。
向こうの方に、再び淡い青い光が差し込んでいるのが見えて来る。青く光る水面を見て、やはり水の中にいたのだと我にかえり、冒険が終わった。
昼食はドスオホスの公園内で。ダイビングスタッフさんのお手製スパム結び。これでダイビング終了なのでビールもいただいた。公園内を少しだけ散策して帰途についた。
潜水時間48分。最大水深9.3m。水温25.2度
エル・ピラータ
ホテルで休憩したのちに再びショップへ。この日はセビーチェを食べにローカルのレストランに行くことになっていた。セビーチェとはシーフードのメキシコ風マリネのこと。酸っぱい味が特徴だ。メキシコにダイビングに来たとき、1度は食べないと落ち着かない。ダイビングは1人だったが、食事は明日から参加するダイバーさんも一緒に来ることになった。
ショップからレストランまでは少し距離があるので、タクシーを使う。10分ぐらいで店に着いた。
まずはビールを一杯。
セビーチェの具にするシーフードを選ぶ。今日は貝とエビだ。ほどなく、セビーチェがテーブルに置かれた。やはり美味。ビールがすすむ。
セビーチェだけでは寂しいので、もう一つ料理を頼んだ。Pulpo al ajo。タコのニンニク煮のような雰囲気の料理。
もう一つ頼んだのだが、写真を撮るのを忘れてしまった。なにかのアヒージョ。たぶん貝だったと思う。Caracol al ajijo。al ajoとal ajijoではajijoのほうがおいしかった。
ドリンクをビールからビールのカクテル、チェラーダに替えて、食事とお喋りを楽しむ。途中で流しの楽団、マリアッチが店の入り口で歌を歌い出した。が、腕はいまいち。ローカルのレストランなので、それほどいいマリアッチは来ないようだ。1楽団終了して、もう1楽団来たが、残念ながらさらにへたくそだった笑。
メインストリート
おなかいっぱい食べたあとは、メインストリートを散歩した。賑やかなメインストリート。土産物屋や、スーパー、レストランが軒を連ねる。
スーパーでマラカスを売っていた。カラフルなマラカスがメキシコらしい笑。
メインストリートで、演奏されるマリアッチの音楽もそこかしこから耳に入ってくるが、あきらかにローカルレストランに出没したマリアッチより腕が数段上だ。
途中、ダイビングガイドさんがお気に入りだというアイスクリーム屋さんに立ち寄って、デザートタイム。 ガイドさんが、ワッフルで挟んだパフェがいつも気になるけど、頼む勇気が出ないと言う。酔っ払った勢いで、頼んじゃいなよ、と煽ってみた。ガイドさん、それを頼んでみたら、飛んでもない大きさのが来た笑。
アイスクリーム屋さんで、もう食べきれないほどおなかを膨らませた後は、散歩を再開。しばらく歩き、ホテルが近づいたので解散。ほどなくホテルに到着し、明日の用意を手早くすませ、ベッドに横になり、2日目が終了した。
3日目へ続く
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