7時過ぎに起床。いよいよ本格的にダイビング三昧の日々が始まる。2日目は、コモド屈指のハナダイの乱舞するバトゥ・ボロンをメインに潜る。
バトゥ・ボロン(Batu Bolong)
バトゥ・ボロンはコモド島とリンチャ島で挟まれた海峡の北の出口にあたる場所のど真ん中に位置するポイントだ。海底から立ち上がった岩礁が海面まで突き出ている。突き出た部分の岩に穴が空いている。インドネシア語でバトゥは岩、ボロンは穴。
流れの強い海峡の中にそびえる岩礁には魚が凝縮される。特にこのポイントはピンクのハナダイが何万と群れていて、花吹雪の中を泳いでいるようだ。そこに、大型のアジや、カラフルなキンチャクダイの仲間、ウミガメ、ナポレオンフィッシュが行き交う。岩礁の壁も元気なハードコーラル、カラフルなソフトコーラルに覆われており、コモド屈指の美しいポイントだ。
1本目は岩の南側を潜る。海峡の流れは強い。船から川が流れているように目で見てわかる程度だ。朝のこの時間は北のフローレス海から南のインド洋側への流れ。岩の北側にぶつかり2つに裂けて岩の両脇を渦を巻きながら流れていくのが見える。反対に流れの陰になる南側は穏やかだ。バトゥ・ボロンの基本的な潜り方は流れの陰になるところを行ったり来たり、となる。岩で流れから守られているところは問題ないが、岩の陰からはみ出ると恐ろしい勢いの水の流れで吹き飛ばされてしまうので、ガイドさんが引き返してきたらそこから先には行かないのが大事だ。
潜ってみると安定の美しさ。
美しいポイントを撮るのはうれしいが難しい。まあ、簡単な撮影なんてないような気はするが(笑)。その美しさをきちんと表現できるかなと心配になったり、考えすぎたり、いや、感動のままにバシバシ撮ればいいんじゃないかと結局考えが堂々巡りしがちだ。
この一枚は平凡と言えば平凡だけど、乱舞するハナダイにナポレオンフィッシュ。バトゥ・ボロンの平均的な雰囲気はそこそこ出ているんじゃないかなと思う。ナポレオンフィッシュはバトゥ・ボロンでよく見かけるが、たいていはダイバーから一定の距離を保とうとするし、近づくとそっぽを向いてしまうことが多いので、なかなか気に入った構図には収まってくれない。今回はエラや体をホンソメワケベラにクリーニングしてもらっている間だったので近づき放題。ラッキーな瞬間に出会えた。
バトゥ・ボロンの極彩色の岩肌をフューチャーした1枚。いや、白状する。日陰となって暗い岩壁のくぼみにタイマイが潜んでいて、そこをたまたまタテジマキンチャクダイが通りかかった。あわてて撮ったら、暗くてよくわからなかった、その壁が極彩色だったという、すべてが偶然のたまものの1枚(笑)。コモドの海には色があふれている。暗いところに光を当てると驚きの色彩が隠れているのだ。
1時間弱、花吹雪を楽しんでエキジット。潜水時間56分。最大深度25.5m。平均水深 13.6m。
タタワ・クチル(Tatawa kecil)
2本目は潮の流れがおさまるのを待って昼食後のエントリーとなった。タタワ・クチルはバトゥ・ボロンと同じ、海峡の出口にある。ガイドさん曰く、平べったいバトゥ・ボロン。ハナダイいっぱいのカラフルなポイントとのこと。岩がそびえ立っていないので、流れを遮る物がない。ゆえに流れが強いときは潜ることができないポイントなのだ。
エントリーすると、ハードコーラルとソフトコーラルのミックスされた平原が広がる。そこに無数のハナダイが群れている。なるほど、平べったいバトゥ・ボロンだ。カラフルな平原が広がるイメージ。奥行きや広々した感じや爽やかな印象がつたわるとうれしい。
カンムリブダイが通り過ぎて行く。透き通った空気の朝の平原を牛が行くイメージ。ほんとの時間は昼だけど、イメージは朝。
平原を過ぎると少し岩がごろごろとした海底が現れた。道のようなリズムのある海底の地形をサザナミヤッコが進んで行くように見えて面白いなと思って撮った1枚。
緩やかな流れに沿ってダイビングして来た最終地点は、やはり平べったいバトゥ・ボロンだった。いや、エントリーポイントよりもこちらの方がそれに近い。昼下がりの明るい光に照らされた海底は自然な色の華やかさを放っていた。ノーストロボで撮影。ストロボは肉眼では気が付かなかった色を発見したり、カラフルさを演出する強力なツールだけれど、肉眼で見た美しさを表せないこともある。
50分強でエキジット。タタワ・クチル、潮の流れで入るタイミングが難しく、たくさんは潜れないポイントではあるけれど、好きになった。バトゥ・ボロンは安定の美しさだが、ここは景色の変化が面白かった。潜水時間51分。最大深度27.1m。平均水深 12.4m。
バトゥ・ボロン(Batu Bolong)
3本目は再びバトゥ・ボロンだ。タタワ・クチルの時間帯が潮止まりで、潮は朝と反対の流れになる。南からの流れとなり、インド洋の栄養豊富なやや冷たい水が流れてくることになるので、若干水温と透明度が下がる。潜るのは流れの反対側となるので岩の北側を潜ることになる。
ひとまず、バトゥ・ボロンですよという1枚を撮っておく(笑)。タイマイとハナダイ。
バトゥ・ボロンの中層には大型のアジであるロウニンアジが悠々と泳ぎ回っている。泳ぎ回るロウニンアジを警戒してかロウニンアジが通過するたびに形を変えるハナダイなどの魚たち。その姿を楽しむのも醍醐味の1つだ。魚群とロウニンアジのシルエットの配置とリズムを意識して、あえてノーストロボで撮ってみた。
大きな海綿の中で休憩しながらこちらの様子をうかがっているタテジマキンチャクダイ。いつもはなかなか正面顔を撮らせてくれないが、秘密基地におさまって自慢げな様子にみえてユーモラスだった。
ダイビングも終わりに近づき水深を浅くする。エントリーが夕方だったので徐々に水に差し込む光の強さと色合いが変わってきて、この時間にしか出せない雰囲気を醸し出してくる。夕方の落ち着いた光の中のバトゥ・ボロンのてっぺん。生き物にあふれていて賑やかだけど、派手さはおさえられた優しい絵になったらいいなと撮影。
夕陽を中のエキジット。水面近くをロウニンアジの編隊が通り過ぎて行く。黄昏れたバトゥ・ボロンは花吹雪とはまた違った一面を見せてくれた。潜水時間55分。最大深度25.5m。平均水深 14.4m。
一日の終わり
3本のダイビングを終えると18時近くになっていた。シャワーを浴びてダイニング行き、早速、お疲れさまの乾杯ビールを空ける。冷たいビールは至福の時。夕食もおいしくいただいた。楽しく飲み、笑い、いい時間を過ごした。
明日は1日カラフルなホヤの壁に向き合う1日だ。
今回お世話になったダイビングサービスさん
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